今回のテーマは、「理想の職場」。ここでの「職場」とは、空間あるいは立地のような物理的な話から人間関係までをも含めた、広義の概念です。
「働いている時間」というのは日々の生活において、かなりの割合を占めています。
その時間をどのようにしてどのような場所で過ごすかというのは、現代都市の住人の大多数にとって、非常に大きな関心事でしょう。
各職能の労働形態への大きな示唆と小さな願望が入り混じったコラム、お楽しみください!
今はひとりでお店をしていますが、理想の職場はひとりじゃなく適度に人のいるのが良いです。それに雇う側ではなく雇われがいいかな。現状に不満はないけど、仕事をするなら一人でよりも何人かでがいい。そのほうが効率が上がるし、職場があって毎日出かけるなら、同僚という人がいて欲しい。もちろん人間関係がそれなりに円滑にいっているのが前提だけど、仕事だからこその出会いや人付き合いがあってもいいと思う。
来客の少ないメガネヤですが、それでもお客さんはお客さんで、同僚じゃないし、マナーのよい方ばかりなので困ることも無いし、それはそれで良い事なんですが、関係性はお客と店主という事で同じ仕事をする土俵には立たないですからね。
無いものねだりなんですが、今はちょっと面倒なことが起こるような職場が欲しいです。面倒なことも起こる反面、大勢で仕事をするときの一人では出来ない大きなものが動く感覚が好きだからですかね。これじゃあ、いつかメガネヤがなくなりそうですが、それはまったく考えてない。仕事だと思ってないんでしょうね。やめるような事でも始めるような事でもない。雇われてメガネヤしてたらまた違うんでしょうけども。
市川ヨウヘイ
古本屋
大阪・京橋
古本屋メガネヤ(地図)
理想的な職場環境について考えてみようと思う。
治安の悪い国では通勤中に強盗に遭うこともあるので、住居とオフィスが同じ敷地内にあるほうが良い。この場合留守宅に泥棒が入るかも、という不安もかなり軽減されるので、かなり理想の職場環境といえる。ザンビアでは実際、家の扉を開けると徒歩10秒でオフィスにたどり着けた。ただしオンとオフの区別がつきにくいというデメリットもある。なんだか常に仕事をしているような気分になるため、やはりオフィスと家は距離がある方がいいな、と常々考えてきた。
マラウイに転任した際、自宅とオフィス間は10分の距離になった。これで仕事と私生活が切り離せる!と喜んだのもつかの間、思わぬ問題に気づいた。それは自宅に新たにインターネットを引かないといけない、ということ。マラウイでは一般家庭にはまだほとんどインターネットが普及しておらず、設置しようと思うとかなり大変。お金も手間もかかる。結局断念して職場で仕事後に利用することになった。24時間いつでもネットが使える環境なんて、アフリカではかなり貴重だったということに、ザンビアを離れて初めて気づいた私だった。
カンボジア事務所の様子
西口 三千恵
国際協力
徳島/カンボジア
NPO法人TICO
私が放送の世界に入ったのは、実は「好きだから」とか「昔からの夢だから」という理由ではない。ひょんな事からラジオに関わり始め、どうしても伝えたいコトが見つかってしまったからだ。妙な使命感に駆られ、それを伝えたいが為に放送で声を出すうちに、伝えたいコトが増えてしまった。その結果が現在に至る。今の仕事に憧れはなかったものの、このメディアが持つ不思議な力に魅せられた。その魅力に絶対の信頼を持ち、ラジオという文化を誰よりも好きなのだとは思う。
誰かが私の言葉に耳を傾けて何かを感じ取り、番組へメッセージを送ってくれる。そして一緒に考え、時には批判されたり、何か行動を起こしてくれたり。そこには果てしない可能性と発見・新たな出会いが存在する。
「伝えたい想い」や「伝えるべき言葉」があり、それを受け取ってくれる人がいるラジオという場所。私が携わるインターネットラジオや、コミュニティ放送局(放送エリアが市または区単位)は、広域局(放送エリアが都道府県単位)と比べてリスナーは少ない。しかし、どんな小さな電波で僅かな人しか聴いていないとしても、繋がり合える場所。それが私の理想の職場だ。
中村 謙太郎
インターネットラジオ
大阪・新世界
インターネットラジオ
Good-AIR !
今現在の仕事部屋に何かプラスしたいものがあるか、と聞かれれば、まず第一に「収納機能」で、第二に「同僚」だ。フリーランスだから同僚がいるわけないのだけれど、仕事の合間にちょっとお茶を入れつつ取り留めのない会話をする相手がいたらどんなにリフレッシュしやすいだろうか、と時々考える。理想を言えば、人が集まる場所があって、でも集まった人々に煩わされずに自分の仕事もできるようなスペース。最近の国際的指向のITやメディア関連の企業ではオフィスにそういうスペースを設けている会社も珍しくない様子だけど、1人でこれを実現するのはかなり難しい。
というわけで思いついたのが、仕事に煮詰まったらノートパソコンを持って他の場所へ行って作業をするという、オフィスを変える代わりに自分が移動するという手段。幸い今の仕事はパソコンさえあればそこそこの作業ができるので、半日ほどカフェや友人の家やオフィスに押しかけて、勝手にそこを仕事場にするといいかもしれない。暖かくなってきたら実行しようと本気で計画中だ。まずはエアマックでも買おうかと思う。
山本真実
ローカリゼーション
大阪・南森町
クリエーター自主運営
ワークルーム208
活動の性格から、私はイタリアに滞在する機会を多く持ってきた。あちらの地方都市へ赴くとセミ・オートマティックに口を突く言葉がある。「こんな土地で暮らせたらなぁ」。生来の夢見がちな性格の手伝いもあろうが、残念ながら日本ではこの台詞を吐く機会が少ないところをみると、やはりかの地ならではの魅力があるのだろうという結論に至る。私の心をとろかすのは、人間の身体寸法に見合ったコンパクトさと生活を潤す文化的刺激を提供してくれる豊富な公共空間が、うまい具合に手を取り合っている点だ。そんな町をぶらり物見遊山していると、老若男女、実に様々な職能を持った人たちに出会い、活気が伝わってくる。圧倒的にも思える地方間格差で疲弊する日本の小都市に見慣れていると、その光景は奇異にすら映るくらいだ。彼らはその町で寝起きし、働き、学び、集い、遊ぶ。職住遊の三位一体である。その証拠に、お昼前の広場はごった返す。自宅で食事を取ろうと、みんな家路を急ぐからだ。交通手段は徒歩か自転車。実にエコだ。
このネット時代、我々の手掛ける仕事は比較的場所を選ばない。日本でも先の羨望のフレーズを思わず口にしてしまう町にもっと出会いたいものだ。
物見遊山励行中の筆者
野村雅夫
イタリアの文化紹介
大阪/ローマ
大阪ドーナッツクラブ
「理想の職場=Rcafe」でありたいといつも思っている。Rが私にとって理想の職場といえるかを探るため、また私にとっての理想の職場とはどんな場所かを探るため、理想といえる職場に在るべきものについて考えてみた。一つ目に「ありのままの自分」を挙げたい。自分に嘘をつきながら居る場所が理想といえるわけがない。二つ目に「自分と向き合い続ける自分」である。やりたいこと、なりたい自分に貪欲でいたい。そうなると受け入れることや弱さを見つめることも必要になってくる。
仕事をすることは生活することで生きていくことだと考えている。私は私でしかなくて、だからこそ最大限に生かしてあげたい。舞台は小さくても大きくてもどこだって一緒だと思っている。自分と向き合い続けることに変わりはない。バイトであろうと社員であろうと同じことだ。自分にしかみえない道を昇り続けていきたいと思う。そして私だけでなくスタッフやお客さんにとってもそうあるものを目指したい。そんなRが理想でそんなRであるならば、理想の職場に在るべきものの三つ目に挙げたい「本物のスマイル」がちゃんとそこに存在するんじゃないかと思う。そしてこれが一番大事なことではないかと改めて思った。
藤井 有美
カフェ
大阪・中崎町
R cafe
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