‘翻訳の仕事’ カテゴリーのアーカイブ

建築雑誌6月号の翻訳

2010年6月7日 月曜日

翻訳を担当する『建築雑誌』の6月号が発行された。
今回の特集は「われらの庭園 Our Gardens」だ。
現代ユートピア論。



本論には関係ない話。
(ぼくは編集委員ではなく翻訳・渉外のみ担当なので、おもに本論の構成の外側でお手伝いしている。)

今回、とあるページの英語タイトルで「インターコース(intercourse)」という単語について議論があった。
「交流」という意味合いで使う単語だけれど、「性交渉」という意味もある。
パンチがあって良いという確信犯としての提案で、結局、採用となった。



そのやり取りで思い出したのだけれど、アメリカに「インターコース(intercourse)」という地名がある。
その街からの留学生に会ったことがある。
彼は英語での自己紹介のたびに
「ぼくはインターコースで生まれたんだ」
と言っていた。(もちろん確信犯だ。)

ドキリとする相手に
「え?僕が生まれた街の名前だよ。どういう意味だと思ったの?」
とニヤリと返していた。



とまあ、性交渉うんぬん書いたけれど、「建築雑誌」は1887年創刊の日本最古の建築系雑誌で、その内容は学術的・実践的、いたって真面目です。
(当たり前だ。)

建築雑誌5月号の翻訳

2010年5月13日 木曜日

翻訳を担当する『建築雑誌』の5月号が発行された。
今回の特集は「BOSAI立国ニッポン “BOSAI”-Disaster-reduction Nation, Nippon」だ。



冒頭、いつもとちがう綴じ込み・見開きの体裁で何かとおもったら、明治・大正時代の地震観測記録だった。
マニアックだけれどおもしろい資料。

資料の内容だけでなく、こういうデザイン上の工夫には、見た目以上の苦労がある。
こういうところでさまざまなレベルがわかるものだ。
神が宿るのはディテール。

細かい話だけれど、たとえば『建築雑誌』のビニールパッケージには今年からミシン目がついている。
読者が袋を開けやすくなるようにという編集者たちの配慮らしい。
こういうのは小さなことだけれどすごく大事だ。

見城徹氏が言っている。
「小さなことにくよくよするな!なんてウソだ。小さなことにくよくよせずに、大きなことをプロデュースできるわけがない」
これはホントウだ。



さて、最近、知人から建築学会への入会方法について聞かれることが何度かあったのだけれど、以下のURLの通り。
建築関係の方でご興味あればぜひどうぞ。

日本建築学会の入会案内

ビル・ゲイツ氏のスピーチ字幕

2010年4月27日 火曜日

翻訳字幕でかかわった、ビル・ゲイツ氏のスピーチ動画(5分42秒)が公開されている。
2009年1月21日、ロータリー国際協議会でのポリオに関する講演だ。

ポリオ撲滅のため、国際ロータリーとビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がお金を出し合っているプロジェクトについての発言。

かつては小児麻痺として日本でも恐れられたポリオは、世界的にみてほぼ撲滅されている。
現時点での常在国は、ナイジェリア、インド、パキスタン、アフガニスタン、の4つ。
が、何事もそうだけれど、「最後の仕上げ」は大変なもの。

ちなみにポリオは死亡の危険もあるけれど、かならずしも重症化するわけではない。
たとえば映画監督のフランシス・フォード・コッポラも少年のころにかかっていた。
ベッドに長く横たわる時間があり、夢想にふけったという。

いずれにせよ、ワクチンで根絶するためには、まだ、近くて長い道のりがある。

そんなポリオ撲滅プロジェクトの意義と寄付金について、ビル・ゲイツ氏が述べている動画。(ちょっと前振りが長くなったけれど)
諸事情により小さな誤植も残っている状態だけれど、本題には関係ない箇所なのでぜひご覧ください。



ビル・ゲイツ氏のポリオ撲滅にかんするスピーチ(youtube)

建築雑誌4月号の翻訳

2010年4月5日 月曜日

一瞬ドキリとするけど、逆さまじゃない。
こういうレイアウトなのです。



特集は「郊外でくくるな」ということで、たとえば「定年ゴジラ」や「エイジ」を書いた小説家の重松清氏なんかも対談で出ている。
もちろん、以前に掲載許可をいただいたロバート・フランク氏の写真もババンと載っている。

さて、文章に「キーワードをつける」というのは、英語であることを抜きにしてもむずかしい。
短くないといけないのだけれど、あまり説明的すぎてもいけないし、詩的すぎて内容の想像がつかなくてもいけない。
毎月の原稿をよみながらその辺のバランスを探って調べたり書き散らしたり。

そんな調べ物のなか、今月は「travesty」という言葉を追跡していた。
出会った例文。

His life is a travesty.
彼の人生は茶番です。

人生そのものを全否定される彼の生きざまとはどんなものだろう。
興味をそそられる。

ロバート・フランク氏からの掲載許可/ Robert Frank

2010年3月29日 月曜日

翻訳を担当させてもらっている建築雑誌(社団法人建築学会)の4月号の特集で、写真界の超大御所、ロバート・フランク氏から写真の掲載許可をいただいた。
快諾のサイン入りファックスがとどいた瞬間には関係者一同で大騒ぎ。
ぼくはたんなる渉外役だけれど、ニューヨークにファックスや電話もした甲斐があったというもの。

彼の代表作はそのものズバリのシンプルなタイトル「Les Américains(The Americans)」。
スイス生まれのフランク氏が在外性を活かした視点から、アメリカの街の風景を写しとっている。
当初は楽観的だったが、アメリカ的生活の速度や経済への傾倒ぶりから危機感をもったらしい。



掲載されている街のいくつか、テネシーやLAといった場所をぼくが訪れたのは2000年代。
こうやって1950年代に撮影された写真集を改めてながめてみると、50年の歳月が変えたもの、変えなかったものがある。
まさにアメリカという国で都市がつくられていった50年だったのだ。

建築雑誌4月号、どんな特集でどの写真が使われるのか、お楽しみに。

(余談だけれど、フランク氏からの許可がでなかった場合に備えて関係者で別写真の準備にも動いていた。結果的には最高の写真をつかえることになってよかったのだけれど、そんな裏の努力もあったことをここに記しておこう。)

現代建築家コンセプト・シリーズ6 中村拓志 – 微視的設計論

2010年3月26日 金曜日

翻訳を担当させてもらった現代建築家コンセプト・シリーズの最新刊がでた。



現代建築家コンセプト・シリーズ6: INAX出版
中村拓志――微視的設計論

物質、身体、自然、社会といった着眼点から中村拓志氏が設計論を展開している。
写真・図版もおおいので、建築の専門知識があまりなくても読みやすい。
ネットでの注文はもちろん、そこそこ大きな書店には置いていますのでぜひご覧ください。



翻訳というのは紙とペンさえあればどこでもできる作業だ。
たとえばぼくは締切前には本の代わりに翻訳原稿を持ち歩き、移動時間を作業にあてる。

地下鉄の御堂筋線なんかで、A4の紙に必死になって翻訳を書きこんでいる男をみかけたら、それはぼくかもしれません。
「塑性変形…プラスティック・ディフォーメーション、でいいかな。フフフ…」なんてブツブツとつぶやいている職質手前の男だったら、ほぼ確実にぼくだとおもいます。
締切前ってどこでも大変なんだなあ、とそっと見守ってやってください。

建築雑誌3月号の翻訳

2010年3月8日 月曜日

日本建築学会の機関誌『建築雑誌』の3月号。
特集は「ナイーブアーキテクチャー: Naive Architecture from Cutting-edge Japan」だ。

今号の論考の中で英語のものがある。
ナオミ・ポロック(Naomi POLLOCK)氏の“Less is the new more”だ。
もちろんミースの言葉「Less is more」にちなんでいるのだけれど、この表現は最近よく使われるフレーズ“Flat is the new up.”なんかと同じ。
後者は、不景気で右肩上がりの成長は少なくなってきたので、「『現状維持』がむかしの『成長』にあたる」という意味だ。
さいきんの経済で言われる「ニューノーマル(New Normal)」なんかも同じだけれど、どの場合も、そこには価値観の転換がある。



さて、今号は翻訳監修よりもむしろ色々な確認などのやり取りが多かった感じ。
最近の日常では日本語でのやり取りがほとんどなので、英語での電話やメールの機会が増えるのはうれしい。

そういえばずいぶん前、実家に住んでいたころ、ぼくが不在のときにかかってきた英語の電話に家族がでたことがある。
大昔に学校で習った英語を思いだそうとしたけれどダメだったようで(そもそもそんな実戦的な授業もなかっただろうし)
「英語、よう喋りませんねんけど」
と流暢な大阪弁で言って受話器を置いたらしい。

建築雑誌2月号の翻訳

2010年2月8日 月曜日

冒頭の見開きでババン、と拙訳が掲載されています。



表紙のピンクをよくみると細かく英文が掲載されていて、その訳文だ。

“WE ARE AS GODS AND HAVE TO GET GOOD AT IT”
「わたしたちは神として上手にふるまわねばならない」

というスゴいタイトルで、スチュワート・ブランド氏が環境問題について語っている。
エネルギー、気象、原発、国連や政治、宇宙開発、というあらゆる視点から。

今回の翻訳作業では、ブランド氏がインタビューでしゃべった内容からつくられた英文原稿がもともとあり、それを翻訳している。
編集会議の資料用に大急ぎで訳したものが、ブランド氏側からの掲載許可が出て急きょ掲載がきまった。
なにがどう転ぶかはわからないものだ。
そう考えると、どの仕事にも全力を尽くしておかないといけない。

建築雑誌1月号の翻訳

2010年1月12日 火曜日

『建築雑誌』での継続的な翻訳がはじまった。
ここでいう「建築雑誌」は固有名詞で、社団法人 日本建築学会の会誌。
建築学会は会員数が約35,000という巨大な組織なのだけれど、そこで毎月発行される機関誌だ。
100年以上つづいているらしい。


シブい表紙が歴史を意識させる。
今月号の特集は、最近再現された丸の内の三菱一號館(元設計/ジョサイア・コンドル)の、学会との因縁もからめた本格的批評。
建築学会員になって購読するか(会費必要)、あるいは南洋堂などで一部1,300円で購入できるとのこと。

本格的な翻訳・校正作業は2月号からなのだけれど、すでに見返しのいい位置にクレジット表記も入れてもらって、気合いも入るというもの。
(もちろん、最初から気合いは入っているけれど。)