翻訳を担当する『建築雑誌』の9月号が発行された。
今回の特集は「建築年報2010- 建築学会総スクラム: Annual Report of Architecture 2010- Architectural Institute of Japan in a Full Scrum」

恒例の建築年報。
建築学会が1年を振り返る号で、区切りと総括の機会となっている。
連載ものの仕事は、作業が前倒しになる関係上、公表のタイミングがややこしい。
ぼくが担当しているのは翻訳だから企画などに比べると後の作業だけれど、それでも「ああ、こんな仕事、ずいぶんと前にやったなあ」と感じることも多々。
ところで今号、表紙は真っ白だ。
そして、
『建築雑誌』創刊号ロゴ(明治20年!)と
日本建築学会紋章(谷口秀郎氏、昭和5年)
のエンボス加工。
洒落ている。

‘OJMM:翻訳’ カテゴリーのアーカイブ
建築雑誌9月号の翻訳:建築年報2010- 建築学会総スクラム
2010年9月6日 月曜日建築雑誌8月号の翻訳:マーク・グラノヴェッター氏/ Mark Granovetter
2010年8月6日 金曜日
翻訳を担当する『建築雑誌』の8月号が発行された。
今回の特集は「NPO Now- present situation of NPO on kenchiku」

で、ぼくが関係した8月号の大仕事といえば、社会学者のマーク・グラノヴェッター氏とのやりとりだ。
ぼくは建築専攻だけれど留学中は社会学を専攻していた。
環境問題や国際開発の文献をよく読み、当然、彼のソーシャル・ネットワークに関する理論、“The strength of weak ties”(弱い紐帯の強み)なんかもよく話題に挙がった。
彼の本を特別に熟読したというわけではなく、そこにあるのはweak tieなのだけれど、こういう形でかかわることができるのは嬉しいものだ。
「Voluntary Architects’ Network 建築をつくる。人をつくる。ルワンダからハイチへ」そしてブラッド・ピット氏
2010年7月13日 火曜日
翻訳で協力させてもらった本が7月15日、inax出版から刊行予定。

Voluntary Architects’ Network
—建築をつくる。人をつくる。ルワンダからハイチへ
坂茂+慶應義塾大学坂茂研究室 著
ぼくは坂茂氏の建築に対峙する姿勢がすきだ。
彼が設計した銀座のニコラス・G・ハイエックセンターみたいなハイテク建築も好きで東京ではいつもふらりと寄ってしまう。
この「VAN」のような復興支援活動について読むと、建築家という職能の存在意義を考えさせられる。
帯にある通り、「建築家は社会に何ができるだろう」と。
そして帯には、ブラッド・ピット氏の言葉もある。
肩書は“俳優、復興支援組織「Make It Right」主宰”となっているが、いわゆるブラピだ。
坂氏との対談で、彼は社会正義について、そして建築について語っている。
“…for me that’s the real definition of architecture.”
なんてセリフ、ハリウッド映画ではなかなかお目にかかれないだろう。
この日本語と英語が併記されている本で、ぼくは「日本語→英語」の翻訳をさせてもらっている。
こういうときはいつも、ほとんどの知り合いはぼくが書いたほう(英語)は読んでくれない。
たくさんの人が読みやすいほうで読めるための翻訳だから、そのことは理解している。
「いいよ。英語は大変だから読んでくれなくて。ブラピは読むとしたら英語のほうだろうけどね」とつぶやいてみると、嬉々として英語をすこしは眺めてくれる今回。
建築雑誌7月号の翻訳:ヴォルフガング・ティルマンス氏/ Wolfgang Tillmans
2010年7月6日 火曜日
翻訳を担当する『建築雑誌』の7月号が発行された。
今回の特集は「建築写真小史—建築写真を拡張するために Short History of Architectural Photography to the New Architectural Photography」だ。
「建築雑誌」で約30年振りの建築写真特集。

渡辺義雄氏撮影の表紙には梶井基次郎氏の短文「太郎と街」が添えられている。
そして、建築写真の大御所、二川幸夫氏に企画拒否されるという緊張感あるクダリから特集はスタートする。
(担当者からすれば、緊張どころではなかっただろうけれど。)
で、ぼくが関係した7月号の大仕事といえば、写真家のヴォルフガング・ティルマンス氏とのやりとりだ。
彼のような写真家とのやり取りにかかわることができたのは嬉しいこと。
ロバート・フランク氏といい、今年は写真家と相性がいいのだろうか。
ちなみにティルマンス氏の写真集はこんな感じ。
(中崎町のギャラリー、ONE PLUS 1 galleryで場所を借りて撮影。背景の裸婦は無視してください。)

建築雑誌6月号の翻訳
2010年6月7日 月曜日
翻訳を担当する『建築雑誌』の6月号が発行された。
今回の特集は「われらの庭園 Our Gardens」だ。
現代ユートピア論。

本論には関係ない話。
(ぼくは編集委員ではなく翻訳・渉外のみ担当なので、おもに本論の構成の外側でお手伝いしている。)
今回、とあるページの英語タイトルで「インターコース(intercourse)」という単語について議論があった。
「交流」という意味合いで使う単語だけれど、「性交渉」という意味もある。
パンチがあって良いという確信犯としての提案で、結局、採用となった。
そのやり取りで思い出したのだけれど、アメリカに「インターコース(intercourse)」という地名がある。
その街からの留学生に会ったことがある。
彼は英語での自己紹介のたびに
「ぼくはインターコースで生まれたんだ」
と言っていた。(もちろん確信犯だ。)
ドキリとする相手に
「え?僕が生まれた街の名前だよ。どういう意味だと思ったの?」
とニヤリと返していた。
とまあ、性交渉うんぬん書いたけれど、「建築雑誌」は1887年創刊の日本最古の建築系雑誌で、その内容は学術的・実践的、いたって真面目です。
(当たり前だ。)
建築雑誌5月号の翻訳
2010年5月13日 木曜日
翻訳を担当する『建築雑誌』の5月号が発行された。
今回の特集は「BOSAI立国ニッポン “BOSAI”-Disaster-reduction Nation, Nippon」だ。

冒頭、いつもとちがう綴じ込み・見開きの体裁で何かとおもったら、明治・大正時代の地震観測記録だった。
マニアックだけれどおもしろい資料。
資料の内容だけでなく、こういうデザイン上の工夫には、見た目以上の苦労がある。
こういうところでさまざまなレベルがわかるものだ。
神が宿るのはディテール。
細かい話だけれど、たとえば『建築雑誌』のビニールパッケージには今年からミシン目がついている。
読者が袋を開けやすくなるようにという編集者たちの配慮らしい。
こういうのは小さなことだけれどすごく大事だ。
見城徹氏が言っている。
「小さなことにくよくよするな!なんてウソだ。小さなことにくよくよせずに、大きなことをプロデュースできるわけがない」
これはホントウだ。
さて、最近、知人から建築学会への入会方法について聞かれることが何度かあったのだけれど、以下のURLの通り。
建築関係の方でご興味あればぜひどうぞ。
日本建築学会の入会案内
ビル・ゲイツ氏のスピーチ字幕
2010年4月27日 火曜日
翻訳字幕でかかわった、ビル・ゲイツ氏のスピーチ動画(5分42秒)が公開されている。
2009年1月21日、ロータリー国際協議会でのポリオに関する講演だ。
ポリオ撲滅のため、国際ロータリーとビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団がお金を出し合っているプロジェクトについての発言。
かつては小児麻痺として日本でも恐れられたポリオは、世界的にみてほぼ撲滅されている。
現時点での常在国は、ナイジェリア、インド、パキスタン、アフガニスタン、の4つ。
が、何事もそうだけれど、「最後の仕上げ」は大変なもの。
ちなみにポリオは死亡の危険もあるけれど、かならずしも重症化するわけではない。
たとえば映画監督のフランシス・フォード・コッポラも少年のころにかかっていた。
ベッドに長く横たわる時間があり、夢想にふけったという。
いずれにせよ、ワクチンで根絶するためには、まだ、近くて長い道のりがある。
そんなポリオ撲滅プロジェクトの意義と寄付金について、ビル・ゲイツ氏が述べている動画。(ちょっと前振りが長くなったけれど)
諸事情により小さな誤植も残っている状態だけれど、本題には関係ない箇所なのでぜひご覧ください。

ビル・ゲイツ氏のポリオ撲滅にかんするスピーチ(youtube)
建築雑誌4月号の翻訳
2010年4月5日 月曜日
一瞬ドキリとするけど、逆さまじゃない。
こういうレイアウトなのです。

特集は「郊外でくくるな」ということで、たとえば「定年ゴジラ」や「エイジ」を書いた小説家の重松清氏なんかも対談で出ている。
もちろん、以前に掲載許可をいただいたロバート・フランク氏の写真もババンと載っている。
さて、文章に「キーワードをつける」というのは、英語であることを抜きにしてもむずかしい。
短くないといけないのだけれど、あまり説明的すぎてもいけないし、詩的すぎて内容の想像がつかなくてもいけない。
毎月の原稿をよみながらその辺のバランスを探って調べたり書き散らしたり。
そんな調べ物のなか、今月は「travesty」という言葉を追跡していた。
出会った例文。
His life is a travesty.
彼の人生は茶番です。
人生そのものを全否定される彼の生きざまとはどんなものだろう。
興味をそそられる。
ロバート・フランク氏からの掲載許可/ Robert Frank
2010年3月29日 月曜日
翻訳を担当させてもらっている建築雑誌(社団法人建築学会)の4月号の特集で、写真界の超大御所、ロバート・フランク氏から写真の掲載許可をいただいた。
快諾のサイン入りファックスがとどいた瞬間には関係者一同で大騒ぎ。
ぼくはたんなる渉外役だけれど、ニューヨークにファックスや電話もした甲斐があったというもの。
彼の代表作はそのものズバリのシンプルなタイトル「Les Américains(The Americans)」。
スイス生まれのフランク氏が在外性を活かした視点から、アメリカの街の風景を写しとっている。
当初は楽観的だったが、アメリカ的生活の速度や経済への傾倒ぶりから危機感をもったらしい。

掲載されている街のいくつか、テネシーやLAといった場所をぼくが訪れたのは2000年代。
こうやって1950年代に撮影された写真集を改めてながめてみると、50年の歳月が変えたもの、変えなかったものがある。
まさにアメリカという国で都市がつくられていった50年だったのだ。
建築雑誌4月号、どんな特集でどの写真が使われるのか、お楽しみに。
(余談だけれど、フランク氏からの許可がでなかった場合に備えて関係者で別写真の準備にも動いていた。結果的には最高の写真をつかえることになってよかったのだけれど、そんな裏の努力もあったことをここに記しておこう。)
現代建築家コンセプト・シリーズ6 中村拓志 – 微視的設計論
2010年3月26日 金曜日
翻訳を担当させてもらった現代建築家コンセプト・シリーズの最新刊がでた。

現代建築家コンセプト・シリーズ6: INAX出版
中村拓志――微視的設計論
物質、身体、自然、社会といった着眼点から中村拓志氏が設計論を展開している。
写真・図版もおおいので、建築の専門知識があまりなくても読みやすい。
ネットでの注文はもちろん、そこそこ大きな書店には置いていますのでぜひご覧ください。
翻訳というのは紙とペンさえあればどこでもできる作業だ。
たとえばぼくは締切前には本の代わりに翻訳原稿を持ち歩き、移動時間を作業にあてる。
地下鉄の御堂筋線なんかで、A4の紙に必死になって翻訳を書きこんでいる男をみかけたら、それはぼくかもしれません。
「塑性変形…プラスティック・ディフォーメーション、でいいかな。フフフ…」なんてブツブツとつぶやいている職質手前の男だったら、ほぼ確実にぼくだとおもいます。
締切前ってどこでも大変なんだなあ、とそっと見守ってやってください。